先日、親族がお世話になっているケアマネさんたちとゆっくりお話する機会がありました。
そこで話題になった、“成年後見制度”について、今日はつらづらと書きたいと思います。
“成年後見”といえば、成年被後見人になると選挙権を自動的に失うとされていた公職選挙法が改正され、昨夏の参議院選挙で、これまで喪失していた選挙権が回復したことで、ニュースやドキュメント番組でもたくさん取り上げられてましたね。
これを機会に、この制度の認知度や理解度が深まればいいなぁと思ったことを今でも覚えています。
しかし、ケアマネさん曰く、現場での認知度はまだまだ低く、本人さんやご家族に案内することにとても苦労するとのこと。
そして、案内したとしても、なかなか利用するに至るまでにならないとのこと。
ケアマネさんたちは、日ごろからこの制度についてたくさんの研修を受けており、利用者さんのためにも、利用者さんに関わるケアマネさんたちのためにも、双方にとって、とても良いことだという認識でおられるので、ほんの少し歯痒い思いもあるようです。
利用するに至らないその要因として、
○制度が複雑なので、説明自体が難しい
→例えば、法定後見類型(成年後見人、保佐人、補助人)
○申立から開始まで、日数がかかりすぎて、その間に本人さんの認知症等が進行してしまう
→申立~開始までの期間は1~2ヶ月程度。ただ、準備期間を含めるともっと要する
○申立の費用、開始後の費用について、本人さんやご家族の理解が得られない
→申立時に利用できる法テラスの民事法律扶助制度があるが、あまり周知されていない
等など。
ただ、一番大きな要因は、法定後見人がつくこと自体、本人さんにとって大きな影響があり、抵抗感があることだとお聞きしました。
ですので、現場では、社会福祉協議会が行っている“あんしんさぽーと事業(日常生活自立支援事業)”を勧めることが多く、ただ、それすらも頑なに拒まれることも多々あるとのことでした。
■あんしんさぽーと事業とは・・・
大阪市社会福祉協議会のHP
https://www.osaka-sishakyo.jp/about/support.html
また、話の流れで、独り暮らしのお年寄りの中には、生活保護受給者の方も多く、成年後見制度を利用しても、申立費用や月々の費用が払えないから、端からあきらめているとのこと。
これについては、おそらくケアマネさんもご存知なかったので、
大阪司法書士会HPにある下記のQ&Aを引用して説明させていただきました。
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Q.
現在、一人暮らしの高齢者の方がいらっしゃいます。
生活保護を受給されているのですが、物忘れが多く、最近、訪問販売業者が訪れている様子もあり、とても心配です。成年後見制度を利用したいのですが、この制度は財産のある方しか利用できない制度なのでしょうか。
A.
成年後見制度は、判断能力が不十分になった方を支援する制度ですので、財産の多寡で利用に制限があるわけではありません。財産が少なくても、生活する上で
契約は不可欠ですし、支援の必要性は変わりません。かえって支援の必要性が高いこともよくあります。たとえば、悪質商法被害を防ぐ意味からも、また行政の
福祉サービスを受けるなどして、生活を維持していくためにも、後見人等が選任されているほうがスムーズにいくケースが多くあります。
成年後見等の申立ては、本人、配偶者、四親等内の親族から行い、申立てにかかる費用は、申立人の負担となります。しかし、申立人の資力によっては、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助制度が利用できますので、申立てにかかる費用(司法書士等へ依頼した場合の報酬を含む)や医師の鑑定費用を立
て替えてもらうことが可能です。ただし、立替費用については分割で弁済していくことになります。
また、ご本人の財産では後見人の報酬等を支払うことができない場合は、市町村に助成を求めていくこともできます。
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とはいえ、「法テラスの民事穂率扶助制度」「市町村の助成金」という存在があるとしても、本人さんにとって、これを利用するためのハードルは高く感じるでしょうし、またパワーが必要になりますよね。
長々と書いてきましたが、
日本は、国民の4人に1人が65歳以上という超高齢社会を迎えており、また非婚化・核家族化も進んでいます。そして、団塊の世代の方が80代になる2030年問題も控えています。
今回、現場の方のお話を聞いて、専門職後見人として、成年後見制度について更に深く取り組み、知識を習得し、この制度をもっと広めていくこと、そして利用しやすい環境を整えていくことが必要だと強く感じました。
一人でも多くの方が、この制度を知り、抵抗感なく利用されるようになり、高齢者となっても障がい者となっても、安心して生活を送れることが保障される世の中を目指していきたいと思います。
PS:
今回お会いしたケアマネさんたちは、とても素敵でした。
お話の最後に、「この仕事、好きじゃないとやっていけません。好きなんです。」と笑顔で語られた姿がとても印象に残っています。
いろいろお話してくださりありがとうございました!