2016年9月23日金曜日

売掛金回収のあれこれ③

前回、相手方との接触状況によって、取り得る手段がいくつもあることを確認しました。
今日は、具体的に個々の手段を見ていきます。 

念書 (⇒ 時効中断となる“債務承認”の効力あり)
念書は一方からの約束事を書面化するもの。
債権は一定期間で時効により消滅してしまうので、相手から「少し待って」「○○までには」等の言動があったら、ぜひ一筆書いてもらいましょう。 
例:は、貴殿対し、○○工事につき金万円の請負代金支払債務があることを確認します。日までにその債務の弁済することを約束します。
  
■内容証明で支払い催告 (⇒ 最近は、ネットでも可能!)
心理的プレッシャーはとても大きく、意外にあっさり回収できることも多々あります 

■裁判所の手続を利用する(⇒ 裁判種類はさまざま!)
内容証明に反応がない場合や、本気度を示したい時に。

★注意 “判決回収”ではありません!せっかく判決を得ても、財産が無い場合は、空振りに。事前に財産の有無の確認は必須です。

続く・・・。


2016年9月19日月曜日

売掛金回収のあれこれ②

前回の続きです。

回収したい売掛金が整理できたら、取り得る手段の検討です。
相手との接触状況によって、次のとおりいくつかの方法があります。

■警戒レベル 小■
相手と直接連絡可能(電話やメールでも◎)。
・念書
・内容証明
・裁判手続
・和解
・見切る

■警戒レベル 中■
本人とは連絡がとれないが、家や会社は存在。
・内容証明
・裁判手続
・和解
・見切る

■警戒レベル 大■
一切連絡がとれない。もぬけの殻。
・裁判手続
・見切る


回収したい債権、相手との接触状況、こちら側の事情etc、総合的に判断して的確な回収手段を見つけていきましょう。
次回は、個々の手段について説明していきます!

2016年9月15日木曜日

売掛金回収のあれこれ①


「何度も請求書を送ってるのに、なんの反応もない!」
「予定の40万円が支払われてない!」etc 

司法書士がよく相談を受ける“債権(売掛金)回収”。
今回は、取り得る手段や事前予防策について考えてみたいと思います。

まずは、回収したい売掛金の整理をしましょう。

■売掛金の存在について
・相手は誰?個人or会社?
・保証人は?
・支払期は?
・いくら?
・契約書など、証拠はある?

■回収の見込みについて
・目当ての財産はありそう?
・費用対効果は?

■譲歩の検討について
・分割払や減額など歩み寄りに応じる心積りは?


整理ができたら、回収に向けての手段を考えてみましょう。
相手との接触状況(連絡が取れるか等)によって取り得る手段はいくつもあります。

次回は、警戒レベルに沿って、回収手段を具体的に紹介します!



2016年9月11日日曜日

ケアマネさんとのお話

先日、親族がお世話になっているケアマネさんたちとゆっくりお話する機会がありました。
そこで話題になった、“成年後見制度”について、今日はつらづらと書きたいと思います。

“成年後見”といえば、成年被後見人になると選挙権を自動的に失うとされていた公職選挙法が改正され、昨夏の参議院選挙で、これまで喪失していた選挙権が回復したことで、ニュースやドキュメント番組でもたくさん取り上げられてましたね。
これを機会に、この制度の認知度や理解度が深まればいいなぁと思ったことを今でも覚えています。

しかし、ケアマネさん曰く、現場での認知度はまだまだ低く、本人さんやご家族に案内することにとても苦労するとのこと。
そして、案内したとしても、なかなか利用するに至るまでにならないとのこと。

ケアマネさんたちは、日ごろからこの制度についてたくさんの研修を受けており、利用者さんのためにも、利用者さんに関わるケアマネさんたちのためにも、双方にとって、とても良いことだという認識でおられるので、ほんの少し歯痒い思いもあるようです。

利用するに至らないその要因として、

○制度が複雑なので、説明自体が難しい
  →例えば、法定後見類型(成年後見人、保佐人、補助人)

○申立から開始まで、日数がかかりすぎて、その間に本人さんの認知症等が進行してしまう
  →申立~開始までの期間は1~2ヶ月程度。ただ、準備期間を含めるともっと要する

○申立の費用、開始後の費用について、本人さんやご家族の理解が得られない
  →申立時に利用できる法テラスの民事法律扶助制度があるが、あまり周知されていない

等など。

ただ、一番大きな要因は、法定後見人がつくこと自体、本人さんにとって大きな影響があり、抵抗感があることだとお聞きしました。

ですので、現場では、社会福祉協議会が行っている“あんしんさぽーと事業(日常生活自立支援事業)”を勧めることが多く、ただ、それすらも頑なに拒まれることも多々あるとのことでした。

■あんしんさぽーと事業とは・・・
 大阪市社会福祉協議会のHP https://www.osaka-sishakyo.jp/about/support.html


また、話の流れで、独り暮らしのお年寄りの中には、生活保護受給者の方も多く、成年後見制度を利用しても、申立費用や月々の費用が払えないから、端からあきらめているとのこと。

これについては、おそらくケアマネさんもご存知なかったので、大阪司法書士会HPにある下記のQ&Aを引用して説明させていただきました。

*******************************************
Q.
現在、一人暮らしの高齢者の方がいらっしゃいます。
生活保護を受給されているのですが、物忘れが多く、最近、訪問販売業者が訪れている様子もあり、とても心配です。成年後見制度を利用したいのですが、この制度は財産のある方しか利用できない制度なのでしょうか。

A.
成年後見制度は、判断能力が不十分になった方を支援する制度ですので、財産の多寡で利用に制限があるわけではありません。財産が少なくても、生活する上で 契約は不可欠ですし、支援の必要性は変わりません。かえって支援の必要性が高いこともよくあります。たとえば、悪質商法被害を防ぐ意味からも、また行政の 福祉サービスを受けるなどして、生活を維持していくためにも、後見人等が選任されているほうがスムーズにいくケースが多くあります。

成年後見等の申立ては、本人、配偶者、四親等内の親族から行い、申立てにかかる費用は、申立人の負担となります。しかし、申立人の資力によっては、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助制度が利用できますので、申立てにかかる費用(司法書士等へ依頼した場合の報酬を含む)や医師の鑑定費用を立 て替えてもらうことが可能です。ただし、立替費用については分割で弁済していくことになります。

また、ご本人の財産では後見人の報酬等を支払うことができない場合は、市町村に助成を求めていくこともできます。

*******************************************

とはいえ、「法テラスの民事穂率扶助制度」「市町村の助成金」という存在があるとしても、本人さんにとって、これを利用するためのハードルは高く感じるでしょうし、またパワーが必要になりますよね。


長々と書いてきましたが、

日本は、国民の4人に1人が65歳以上という超高齢社会を迎えており、また非婚化・核家族化も進んでいます。そして、団塊の世代の方が80代になる2030年問題も控えています。
今回、現場の方のお話を聞いて、専門職後見人として、成年後見制度について更に深く取り組み、知識を習得し、この制度をもっと広めていくこと、そして利用しやすい環境を整えていくことが必要だと強く感じました。

一人でも多くの方が、この制度を知り、抵抗感なく利用されるようになり、高齢者となっても障がい者となっても、安心して生活を送れることが保障される世の中を目指していきたいと思います。


PS:
今回お会いしたケアマネさんたちは、とても素敵でした。
お話の最後に、「この仕事、好きじゃないとやっていけません。好きなんです。」と笑顔で語られた姿がとても印象に残っています。
いろいろお話してくださりありがとうございました!













2016年9月6日火曜日

ホームページ

永井司法書士事務所のホームページを開設してから、早速いろいろな反応をいただています。
嬉しいお言葉は有難く受け止め、ご指摘やアドバイスはこれももちろん有難く受け止めさせていただいています。

アドバイスの中でも、多かったのが「もっといろいろな情報量を増やせばいいんじゃない?」とのお声。

確かにそうですね。
もともと、ホームページを開設するにあたり、難解に思われがちな法律を分かりやすくお伝えできたらとも思っていたので、上記のようなアドバイスもあり、現在、時間を作って各々の法律や手続について、詳細なページを作っているところです。

今の時代、ネットに様々な情報が溢れています。
ご相談に来られる方の中にも、ご自身でたくさん勉強してこられ、事務所としては、個別具体的な事情を加味しご説明して、あとは背中を押すだけということもあります。
一方で、情報に少し惑わされすぎてしまって、本質の整理が必要なときもあります。

ですので、新たなページには、より詳細で正確な情報を、分かりやすくご説明できたらと思っています。
そして、ホームページにたどり着いてくださる方に、ほんの少しでも得した気分を味わっていただければ嬉しいです。

というわけで、まだまだ新しくなっていく予定ですので、またぜひ覗いてみてくださいね。


2016年9月1日木曜日

ごあいさつ

はじめまして。
大阪・北浜の司法書士/行政書士の永井涼子です。

このブログでは、司法書士/行政書士の業務に関する最新の情報や、実務での気付きや、研修で話題になっていること、受験生に向けての応援など、法務に関する鮮度あるトピックスを、深く掘り下げてお届けできたらいいなと思っています。

どうぞよろしくお願いいたします。


永井司法書士・行政書士事務所事務所
ホームページ http:/nagai-law.net/

ブログ http://nagai-law.blogspot.jp/