2016年12月25日日曜日

相続手続の一般的な流れ③「2.相続人は誰?遺産は?

前回のつづき。

遺言が無かった場合、続いて、①相続人を確認し、②遺産の確認をしましょう。

■①相続人は誰?
相続人の範囲は故人と一定の身分関係(婚姻・出生・養子など)がある人で、法律で相続人となる順番が決まっており、戸籍調査が必要です。故人の戸籍は、「出生~死亡までの連続したもの」が必要となり、すべて揃うまで時間や労力を要するので、最近は、士業の戸籍取得代行サービスを利用する方も。
  取得した戸籍は名義変更手続でも使用しますが、原則、使い回しができるので、各1通で大丈夫です。


■②遺産ってどんなもの?(=簡単に言うと、故人が所有していた「物」や「権利」すべて)
□不動産関係□
・不動産、借地権、借家権
□動産関係□
・車、貴金属、骨董品や家財道具
□債権関係□
・預貯金、株などの金融商品、ゴルフ会員権、貸付金、借金(債務)
・その他、最近ご依頼いただいた一風変わった権利でいえば、「酒類免許」も相続できます。


つづく・・・




2016年12月16日金曜日

相続手続の一般的な流れ②「1.遺言について」

■相続手続きの一般的な流れ
1.まずは遺言の有無の確認を!
2.相続人は誰?遺産は?
3.相続放棄/所得税準申告の検討を
4.遺産分割協議
5.遺産の名義変更
6.相続税の申告


■1.まずは遺言は遺言の有無を確認しましょう!

遺言の種類・確認方法は次のとおりです。
①公正証書遺言・・・最寄りの公証役場に問い合わせをすればOK
②秘密証書遺言・・・〃
③自筆証書遺言・・・故人の遺品を整理しながらの“お宝探し”のよう。その後、裁判所で検認手続が必要です。

※よくある自筆証書遺言の保管場所
・自宅内の鍵付きの机
・タンスの奥
・お仏壇の近く
・女性の場合はキッチン廻りや、食材や生活用品の保管スペースも。
・口座を開設していた銀行
・古くからの知人も手掛かりになります


つづく・・・


2016年12月10日土曜日

相続手続の一般的な流れ①

相続(=人の死亡)により、法律上、故人の遺産(財産や借金など)は相続人に承継され、相続人がしなくてはならない事務手続は幅広く発生します。
誰もがいずれは直面する相続ですが、その手続は非常に煩雑ですし、何から始めてよいか迷う方も多いと思います。
相続手続きの一般的な流れは次のとおりです。

1.まずは遺言の有無の確認を!
2.相続人は誰?遺産は?
3.相続放棄/所得税準申告の検討を
4.遺産分割協議
5.遺産の名義変更
6.相続税の申告


・・・法律用語や難しい言葉が多いですよね。
次は、各ステップの概要や注意点を簡単にお伝えしていきます。



2016年11月23日水曜日

行政書士のお仕事

最近は、許認可関係の依頼や相談が続いています。
行政書士として取り扱える許認可は1万件を超えると言われており、それぞれ許認可の要件や条件は異なるので、初めての案件はイチから勉強し、時には行政庁に確認しながら進めることも。

多くの許認可のポイントとなるのは、次の4点。
①ヒトの要件・・・免許や資格、経験や専任性など。法人の場合は目的も大切です。
②モノ・ハコの要件・・・設備や営業所について。実地調査の有無も要確認。
③オカネの要件・・・財産的基礎、許認可手数料。
④ジカン・・・行政の標準処理期間

①〜③を証明するためには、何を添付資料とするのか把握し、④から逆算してスケジューリング。
何かを落とせば、時間を要してしまったり、最悪の場合は取得できなかったりするので、依頼者の方の事業開始に大きく影響を与えてしまい、とても神経を使います。
そもそも相談者の方がその事業を開始する際に許認可が要るかどうかも、しっかり根拠を取らなければいけません。

というように、とても慎重を要する業務ですが、事業開始に向けて依頼者の方とビジョンを共有できたり、普段とは違う新しい世界を知ることができたり、とても楽しく学びにもなります。

ところで、少し前に行政書士試験がありましたね。
合格後、行政書士会に登録の際は、準備する資料がたくさんあり、まさに上記④つのポイントを登録段階で経験できたので、実務でとても役立ちますよ!




2016年11月10日木曜日

後見制度支援信託とは④

後見制度支援信託について、最終話です。
 これまで制度の概要や要件について見てきましたので、利用にあたってのメリット・デメリットについて考えてみたいと思います。

■メリット
本人の財産を安全に、確実に保護することができる
・元本が保証され、預金保険制度の保護の対象
・信託した財産の払い戻しや信託解約などをする場合、家庭裁判所の指示書(事前チェック)が必要

後見人の財産管理の負担を軽減
・金銭の管理について、透明性が確保できる
・金銭の管理方法を巡る親族間トラブルを回避
・信託した金銭については、信託銀行等の明細を利用できるので、裁判所に提出する事務報告書の作成が容易になる

■デメリット
報酬コストの発生による経済的負担
①信託契約の締結に関与した専門職後見人に対する報酬
→家庭裁判所が、専門職後見人が行った内容や本人の資産状況によって決定します。
②信託銀行に対する報酬(管理報酬・運用報酬)
→管理報酬としては、信託銀行によって異なりますが、無料~約16万(契約中は月額負担無料~約3000円)。運用報酬は収益に応じて発生。

臨時・突発的な財産の使用に時間と手間を要する場合も
事前に裁家庭判所の指示書が必要なため、申立から指示書交付まで、手間と手続時間を要します。
裁判所の迅速な対応にも大いに期待したいのですが、そもそも前回のブログで述べた「裁判所が審判するうえでの判断材料」の“5.本人の居所が安定し、毎月の収支計画を立てられている状況である”にあるように、臨時・突発的な財産の使用の必要性が最小限であることがこの制度の利用において予定されていることが窺えます。


最後に、今後のこの制度の展望についても考察してみます。
そもそも、この制度の背景として後見人等による着服や横領など不正事例が後を絶たたないことが一因となっています。その後見人を監督する制度は、どちらかといえば事後的な監督にならざるを得ませんので、後見監督制度の改善・強化も図りつつ、家庭裁判所としてはこの制度の利用促進を推し進めていくことで、成年後見制度自体の信用を担保していく意向が感じ取れます。

結果、「親族後見人+一定の金銭財産がある+(その他判断材料による)」のケースで今後成年後見制度を利用する場合、「①後見制度支援信託を利用 ②後見監督人が選任される」ゆくゆくはこの2択の選択(というよりも、“①でなければ②”“①と②の併用”)となっていくのではないのでしょうか。

この制度は、本人にとってメリットが多いのですが、事情によっては、運用手続面においてのデメリットの方が際立つ場合もあります。また、個別背景(財産の多寡、ご容態や居所の状況、選任された後見人等)によって利用の判断軸は大きく変動しますので、利用にあたっては家庭裁判所や専門職に充分にご相談されることを推奨いたします。




2016年11月2日水曜日

後見制度支援信託とは③

引き続き、後見制度支援信託について。

これまで述べてきたことと重複にもなりますが、成年後見制度を利用されている方で、どのような方がこの制度の利用に適しているのか、また、裁判所が審判するうえでの判断材料や要件を、簡単に挙げてみると次のようになります。

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1.成年後見人または未成年後見人を利用している
保佐人、補助人を利用されている方は、この制度は利用できません。

2.親族の方が後見人である
専門職後見人である場合、今のところこの制度の利用外となっています。

3.本人に一定額の金銭がある
目安としては、1000万円以上でしたが、500万円以上に緩和されている地域もあります。
不動産や動産は対象外となっています。

4.本人が遺言などで財産の使いみちを決めていない
本人が遺言などで財産の処分方法を決めている場合、“財産を信託する”ことは、本人の意思に反してしまわないか検討する必要があります。成年後見の制度は、本人のための制度ですので、本人の意思の尊重を最優先しようという趣旨が考えられます。

5.本人の居所が安定し、毎月の収支計画を立てられている状況である
入院中の場合などは、どこが本人の住まいになるかまだ不確かですし、介護施設への入居などの予定がある場合は大きな財産を動かす必要があるので、信託しない方がよい場合もあります。
また、日常的に使用する金銭は定期交付になりますので、毎月の収支の目途が立っていることも判断材料の一つになります。

6.その他、本人・後見人の個別的事情
本人の財産管理や身上監護に、親族間で意見の相違がある場合は十分に配慮が必要です。

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今のところ、上記がこの制度を利用するにあたっての判断材料と考えられますが、新しい制度な故、今後、変更されていく可能性は大きいと思います。


最高裁判所の「成年後見関係事件の概況」(平成25年1月~12月)によると、平成25年の1年間でこの制度を利用された方は533人(信託した金銭の平均額は約3700万円)とあります。成年後見審判の申立件数約26000件のうち、親族後見人はおよそ42%とあるので、数値的にはまだ周知されていない状況でした。
とはいえ、平成25年12月時点では新規に後見申立をする際に限定された制度でしたが、それが緩和され、現在後見制度を利用されている方も利用できるようになったことで、今後は、利用に向けた動きがもっと加速していくと思います。

次回は、メリット・デメリットについて、そして、今後のこの制度の展望について考えたいと思います。







2016年10月26日水曜日

後見制度支援信託とは②

最近、ご相談を受けた“後見制度支援信託”。
平成24年にスタートした制度で、後見制度による支援を受けている本人の財産のうち、「通常使用しない金銭(日常的に必要十分な支払以外の金銭)」を信託銀行に信託する仕組みです。

この制度の目的は、「本人の財産を安全にかつ確実に保護する」「後見人の方の財産管理の負担を軽減する」ことにあります。
本人の現金や預貯金などを信託を活用して管理することができ、この信託した財産は元本が保証され、預金保険制度の保護の対象となります。
また、信託した財産の払い戻しや信託解約などをする場合、家庭裁判所の指示書が必要ですので、第三者による引き出しなどによって財産が損なわれることはありません。

この制度の背景として、後見人等による着服や横領など不正事例が後を絶たたないことが一因となっています。
平成23年2月から平成24年2月までの2年間で、不正事件は935件。被害総額は80億円を超える額にのぼることが、最高裁判所の調査により判明しています。
後見人を監督する制度はありますが、どちらかといえば事後的な監督にならざるを得ないので、不正を防ぐ仕組みとして確実に機能しているとは言い難い状況であり(とはいえ、この後見監督制度の改善・強化も急務であることに間違いないですが)、そのため、事前に本人の財産を信託することで、「信託銀行による財産の管理・保護」と「裁判所による指示書」により、不正が起き得ない仕組みを構築する機能としてこの制度はスタートしました。

当初は、新規に後見申立をする際に限定された制度でしたが、それが緩和され、現在後見制度を利用されている方も利用できるようになったため、家庭裁判所から利用を促す通知が後見人の方へ届いているようです。

高齢化がますます進む中、今後、この制度を利用する方、利用を検討する方が増えていくと思いますので、次回は、もう少し具体的にこの制度の仕組み、手続きについて考えてみたいと思います。




2016年10月22日土曜日

後見制度支援信託とは①

最近、ご相談を受けた“後見制度支援信託”。
平成24年にスタートした制度で、後見制度による支援を受けている本人の財産のうち、「通常使用しない金銭(日常的に必要十分な支払以外の金銭)」を信託銀行に信託する仕組みです。

この制度の目的は、「本人の財産を安全にかつ確実に保護する」「後見人の方の財産管理の負担を軽減する」ことにあります。
本人の現金や預貯金などを信託を活用して管理することができ、この信託した財産は元本が保証され、預金保険制度の保護の対象となります。
また、信託した財産の払い戻しや信託解約などをする場合、家庭裁判所の指示書が必要ですので、第三者による引き出しなどによって財産が損なわれることはありません。

この制度の背景として、後見人等による着服や横領など不正事例が後を絶たたないことが一因となっています。
平成23年2月から平成24年2月までの2年間で、不正事件は935件。被害総額は80億円を超える額にのぼることが、最高裁判所の調査により判明しています。
後見人を監督する制度はありますが、どちらかといえば事後的な監督にならざるを得ないので、不正を防ぐ仕組みとして確実に機能しているとは言い難い状況であり(とはいえ、この後見監督制度の改善・強化も急務であることに間違いないですが)、そのため、事前に本人の財産を信託することで、「信託銀行による財産の管理・保護」と「裁判所による指示書」により、不正が起き得ない仕組みを構築する機能としてこの制度はスタートしました。

当初は、新規に後見申立をする際に限定された制度でしたが、それが緩和され、現在後見制度を利用されている方も利用できるようになったため、家庭裁判所から利用を促す通知が後見人の方へ届いているようです。

高齢化がますます進む中、今後、この制度を利用する方、利用を検討する方が増えていくと思いますので、次回は、もう少し具体的にこの制度の仕組み、手続きについて考えてみたいと思います。




2016年10月18日火曜日

森林の土地の所有者届出について

H24年に改正施行された森林法。
森林の土地の所有権を取得した者は、市長村に事後届出が必要になっています。

・司法書士として、土地の名義変更登記
・行政書士として、行政庁への届出
いずれも業務に深く関わり、この度検討する機会があったので、備忘録的に要件をまとめてみます。

■概要
地域森林計画区域内民有林につき、新たに森林の土地所有者となった者は、市町村の長に対して届け出なければならない。

■地域森林計画区域とは?
都道府県/市町村の林務担当部署で確認する必要あり

■民有林とは?
国有林以外の森林

■森林の土地とは?
「木竹が集団して生育している土地」「木竹の集団的な生育に供される土地」
 →“現況”が森林の土地であれば届出対象(登記簿上の地目が山林以外でも対象となり得る)

■ 所有者となった者とは?(=届出対象者)
森林の土地を新たに取得した方
→土地の面積に関わらず
→個人/法人問わず
→取得原因問わず(売買、相続、贈与、合併等)

■届出先は?
森林の土地が所在する市町村

■いつまでに届出が必要?
所有権を取得した日から90日以内に
→相続の場合、相続発生日が起算点(分割協議日ではない)

■届出が不要な場合
国土利用計画法に基づく土地売買契約の届出を提出している方は対象外



以上、届出をしないor虚偽の届出の場合、10万円以下の過料が科せられることもあるので、専門職としては要注意ですね。




2016年10月10日月曜日

売掛金回収のあれこれ⑤

随分期間が空いてしまいましたが、シリーズ最終回です。

これまで、①回収したい売掛金を整理し、②相手との接触状況を確認のうえ、③取り得る手段の選択肢を見てきましたが、最後に、未収を回避するための事前予防策を提案させていただきます!

■初めての取引の際は、事前に相手の調査を
・インターネットで検索
・会社登記簿謄本(費用は要しますが最寄りの法務局で誰でも取得できます!)

■契約内容証拠の積み重ねを
・契約書、請負書、納品書などは保管
・文書が難しい場合は、メールやファックスも◎。(口頭で約束を交わしたとしても、後日リマインドを兼ねて)

■着手金や中間金の検討を
・大きい受注や与信に不安があるとき等は、全額取りっぱぐれを防ぎましょう 

■万が一に備え、普段の会話の中で、財産の有無についてさりげなく確認を
・住まいは持家?賃貸?
・よく利用する銀行は?


売掛金の回収についていろいろ書いてきましたが、今回の事前予防策が一番お伝えしたかったことです。
普段のちょっとした心がけでできることばかりなので、ぜひご参考になれば幸いです! 







2016年10月1日土曜日

売掛金回収のあれこれ④

引き続き、取り得る手段について。

■和解 (⇒ 無い袖は振れない・・・)
相手方の事情を考慮し、分割払いなど、積極的妥協を試みることも、回収への一歩です。

■見切る(⇒ 今後に向けての“事前予防策”を!)
回収不能が明らかな場合、深追いしても時間や労力の無駄になるため、一旦、見切る方が賢明なこともあります。
ただ、時間をおいて、請求し続けることをお薦めします。


以上、回収手段について見てきましたが、 どの方法も確実に回収できるとは限りませんし、時間や労力を要し、また、精神的にも疲れてしまいますよね。
そうならないために、次回は“未収を回避するための事前予防策”を検討していきます!












2016年9月23日金曜日

売掛金回収のあれこれ③

前回、相手方との接触状況によって、取り得る手段がいくつもあることを確認しました。
今日は、具体的に個々の手段を見ていきます。 

念書 (⇒ 時効中断となる“債務承認”の効力あり)
念書は一方からの約束事を書面化するもの。
債権は一定期間で時効により消滅してしまうので、相手から「少し待って」「○○までには」等の言動があったら、ぜひ一筆書いてもらいましょう。 
例:は、貴殿対し、○○工事につき金万円の請負代金支払債務があることを確認します。日までにその債務の弁済することを約束します。
  
■内容証明で支払い催告 (⇒ 最近は、ネットでも可能!)
心理的プレッシャーはとても大きく、意外にあっさり回収できることも多々あります 

■裁判所の手続を利用する(⇒ 裁判種類はさまざま!)
内容証明に反応がない場合や、本気度を示したい時に。

★注意 “判決回収”ではありません!せっかく判決を得ても、財産が無い場合は、空振りに。事前に財産の有無の確認は必須です。

続く・・・。


2016年9月19日月曜日

売掛金回収のあれこれ②

前回の続きです。

回収したい売掛金が整理できたら、取り得る手段の検討です。
相手との接触状況によって、次のとおりいくつかの方法があります。

■警戒レベル 小■
相手と直接連絡可能(電話やメールでも◎)。
・念書
・内容証明
・裁判手続
・和解
・見切る

■警戒レベル 中■
本人とは連絡がとれないが、家や会社は存在。
・内容証明
・裁判手続
・和解
・見切る

■警戒レベル 大■
一切連絡がとれない。もぬけの殻。
・裁判手続
・見切る


回収したい債権、相手との接触状況、こちら側の事情etc、総合的に判断して的確な回収手段を見つけていきましょう。
次回は、個々の手段について説明していきます!

2016年9月15日木曜日

売掛金回収のあれこれ①


「何度も請求書を送ってるのに、なんの反応もない!」
「予定の40万円が支払われてない!」etc 

司法書士がよく相談を受ける“債権(売掛金)回収”。
今回は、取り得る手段や事前予防策について考えてみたいと思います。

まずは、回収したい売掛金の整理をしましょう。

■売掛金の存在について
・相手は誰?個人or会社?
・保証人は?
・支払期は?
・いくら?
・契約書など、証拠はある?

■回収の見込みについて
・目当ての財産はありそう?
・費用対効果は?

■譲歩の検討について
・分割払や減額など歩み寄りに応じる心積りは?


整理ができたら、回収に向けての手段を考えてみましょう。
相手との接触状況(連絡が取れるか等)によって取り得る手段はいくつもあります。

次回は、警戒レベルに沿って、回収手段を具体的に紹介します!



2016年9月11日日曜日

ケアマネさんとのお話

先日、親族がお世話になっているケアマネさんたちとゆっくりお話する機会がありました。
そこで話題になった、“成年後見制度”について、今日はつらづらと書きたいと思います。

“成年後見”といえば、成年被後見人になると選挙権を自動的に失うとされていた公職選挙法が改正され、昨夏の参議院選挙で、これまで喪失していた選挙権が回復したことで、ニュースやドキュメント番組でもたくさん取り上げられてましたね。
これを機会に、この制度の認知度や理解度が深まればいいなぁと思ったことを今でも覚えています。

しかし、ケアマネさん曰く、現場での認知度はまだまだ低く、本人さんやご家族に案内することにとても苦労するとのこと。
そして、案内したとしても、なかなか利用するに至るまでにならないとのこと。

ケアマネさんたちは、日ごろからこの制度についてたくさんの研修を受けており、利用者さんのためにも、利用者さんに関わるケアマネさんたちのためにも、双方にとって、とても良いことだという認識でおられるので、ほんの少し歯痒い思いもあるようです。

利用するに至らないその要因として、

○制度が複雑なので、説明自体が難しい
  →例えば、法定後見類型(成年後見人、保佐人、補助人)

○申立から開始まで、日数がかかりすぎて、その間に本人さんの認知症等が進行してしまう
  →申立~開始までの期間は1~2ヶ月程度。ただ、準備期間を含めるともっと要する

○申立の費用、開始後の費用について、本人さんやご家族の理解が得られない
  →申立時に利用できる法テラスの民事法律扶助制度があるが、あまり周知されていない

等など。

ただ、一番大きな要因は、法定後見人がつくこと自体、本人さんにとって大きな影響があり、抵抗感があることだとお聞きしました。

ですので、現場では、社会福祉協議会が行っている“あんしんさぽーと事業(日常生活自立支援事業)”を勧めることが多く、ただ、それすらも頑なに拒まれることも多々あるとのことでした。

■あんしんさぽーと事業とは・・・
 大阪市社会福祉協議会のHP https://www.osaka-sishakyo.jp/about/support.html


また、話の流れで、独り暮らしのお年寄りの中には、生活保護受給者の方も多く、成年後見制度を利用しても、申立費用や月々の費用が払えないから、端からあきらめているとのこと。

これについては、おそらくケアマネさんもご存知なかったので、大阪司法書士会HPにある下記のQ&Aを引用して説明させていただきました。

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Q.
現在、一人暮らしの高齢者の方がいらっしゃいます。
生活保護を受給されているのですが、物忘れが多く、最近、訪問販売業者が訪れている様子もあり、とても心配です。成年後見制度を利用したいのですが、この制度は財産のある方しか利用できない制度なのでしょうか。

A.
成年後見制度は、判断能力が不十分になった方を支援する制度ですので、財産の多寡で利用に制限があるわけではありません。財産が少なくても、生活する上で 契約は不可欠ですし、支援の必要性は変わりません。かえって支援の必要性が高いこともよくあります。たとえば、悪質商法被害を防ぐ意味からも、また行政の 福祉サービスを受けるなどして、生活を維持していくためにも、後見人等が選任されているほうがスムーズにいくケースが多くあります。

成年後見等の申立ては、本人、配偶者、四親等内の親族から行い、申立てにかかる費用は、申立人の負担となります。しかし、申立人の資力によっては、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助制度が利用できますので、申立てにかかる費用(司法書士等へ依頼した場合の報酬を含む)や医師の鑑定費用を立 て替えてもらうことが可能です。ただし、立替費用については分割で弁済していくことになります。

また、ご本人の財産では後見人の報酬等を支払うことができない場合は、市町村に助成を求めていくこともできます。

*******************************************

とはいえ、「法テラスの民事穂率扶助制度」「市町村の助成金」という存在があるとしても、本人さんにとって、これを利用するためのハードルは高く感じるでしょうし、またパワーが必要になりますよね。


長々と書いてきましたが、

日本は、国民の4人に1人が65歳以上という超高齢社会を迎えており、また非婚化・核家族化も進んでいます。そして、団塊の世代の方が80代になる2030年問題も控えています。
今回、現場の方のお話を聞いて、専門職後見人として、成年後見制度について更に深く取り組み、知識を習得し、この制度をもっと広めていくこと、そして利用しやすい環境を整えていくことが必要だと強く感じました。

一人でも多くの方が、この制度を知り、抵抗感なく利用されるようになり、高齢者となっても障がい者となっても、安心して生活を送れることが保障される世の中を目指していきたいと思います。


PS:
今回お会いしたケアマネさんたちは、とても素敵でした。
お話の最後に、「この仕事、好きじゃないとやっていけません。好きなんです。」と笑顔で語られた姿がとても印象に残っています。
いろいろお話してくださりありがとうございました!













2016年9月6日火曜日

ホームページ

永井司法書士事務所のホームページを開設してから、早速いろいろな反応をいただています。
嬉しいお言葉は有難く受け止め、ご指摘やアドバイスはこれももちろん有難く受け止めさせていただいています。

アドバイスの中でも、多かったのが「もっといろいろな情報量を増やせばいいんじゃない?」とのお声。

確かにそうですね。
もともと、ホームページを開設するにあたり、難解に思われがちな法律を分かりやすくお伝えできたらとも思っていたので、上記のようなアドバイスもあり、現在、時間を作って各々の法律や手続について、詳細なページを作っているところです。

今の時代、ネットに様々な情報が溢れています。
ご相談に来られる方の中にも、ご自身でたくさん勉強してこられ、事務所としては、個別具体的な事情を加味しご説明して、あとは背中を押すだけということもあります。
一方で、情報に少し惑わされすぎてしまって、本質の整理が必要なときもあります。

ですので、新たなページには、より詳細で正確な情報を、分かりやすくご説明できたらと思っています。
そして、ホームページにたどり着いてくださる方に、ほんの少しでも得した気分を味わっていただければ嬉しいです。

というわけで、まだまだ新しくなっていく予定ですので、またぜひ覗いてみてくださいね。


2016年9月1日木曜日

ごあいさつ

はじめまして。
大阪・北浜の司法書士/行政書士の永井涼子です。

このブログでは、司法書士/行政書士の業務に関する最新の情報や、実務での気付きや、研修で話題になっていること、受験生に向けての応援など、法務に関する鮮度あるトピックスを、深く掘り下げてお届けできたらいいなと思っています。

どうぞよろしくお願いいたします。


永井司法書士・行政書士事務所事務所
ホームページ http:/nagai-law.net/

ブログ http://nagai-law.blogspot.jp/